RICOH THETA HACKS! - THETAでHDR(ハイ・ダイナミックレンジ)撮影を行う (THETA HDRI) bookmark
概要 bookmark
360度・全天球の写真をシャッター1発で撮影することができる夢のカメラ「RICOH THETA」。このカメラで露出を自動的に変更しながら複数枚撮影し(ブラケット撮影)、撮影した画像からハイダイナミックレンジイメージ(HDRI)を生成します。また、そのHDRI画像を天球マップとして使用しIBL(Image based lighting)素材として実用になるか実験します。
オートブラケット撮影でHDR(ハイ・ダイナミックレンジ)写真を撮影する bookmark
THETAでは通常オートブラケット撮影ができませんが、スクリプトを使ったWiFi経由遠隔操作でブラケット撮影を実現し、この写真からHDR写真を生成することとします。
オートブラケット撮影を実現するためには、「RICOH THETA HACKS! - 無線LAN越しに制御する方法 (THETA Wifi control protocol , sample perl scripts)」に掲載したVersion 0.02版Perlスクリプトを少しだけ変更して使います。
- Before
#&InitiateCapture(-2000); &InitiateCapture(0); #&InitiateCapture(2000);
- After
&InitiateCapture(-2000); &InitiateCapture(0); &InitiateCapture(2000);
ここで引数として与えられている数値が露出補正値となります。1000が1EVに相当し、2000,1700,1300,1000,700,300,0,-300,-700,-1000,-1300,-1700,-2000の中から選びます。
また、物理リモートシャッターをつくる (Building physical THETA remote Controller)で示したリモートシャッター(Version 0.02)でもボタン長押しで±2EVのオートブラケット撮影が可能です。ちなみにTHETAは撮影後カメラ内で画像合成処理が行われるため、だいたい3枚の撮影で10~15秒程度の時間がかかります。
- 露出補正-2000 (-2EV)
- 露出補正±0
- 露出補正+2000 (+2EV)
これらの写真をPhotomatixなどのソフトウェアで処理することで、ハイ・ダイナミックレンジ写真(HDR写真)が生成できます。HDRデータそのものは黒/白の幅が広いデータとなりそのまま写真として画面に表現することはできませんが、トーンマッピングという手法を用いることで「どこを見ても黒潰れ・白飛びしていない画像」にすることができます。
- トーンマッピング済HDRI この画像をあらためて「ぐるぐる見回せる」ようにするとこのような感じとなります。
- https://theta360.com/s/cr
別の作例 bookmark
- 露出補正-2000 (-2EV)
- 露出補正±0
- 露出補正+2000 (+2EV)
- トーンマッピング済HDRI
- https://theta360.com/s/cs
HDRIを使ったIBL (Image based lighting) bookmark
このように撮影したHDRイメージを使ってIBL (Image based lighting)を試みてみました。まあなんとなくそれっぽく…はなっているでしょうか。
ダウンロード (download) bookmark
雑感 bookmark
HDR撮影が効いてくるような非常に明暗差の激しい場面、つまり片側からのみ直射日光が差し込むような場面では、いくら優秀な全天球を撮影してくれるTHETAさんとはいえども片側のレンズのみ全体的にフレアがおこりスティッチに不整合が発生してしまいます。そういった画像を素材としてHDR合成を行うと、より不整合が強調される結果となりいまひとつうまくいかないようです。HDRを最も使いたい場面で使いにくいという結果になったのはちょっと残念でした。
しかし、とはいえ全天球のHDR素材が十数秒で撮影でき、IBL用としてもそこそこ使えそうだというのはなかなか用途として面白そうです。
blog記事 (blog) bookmark
2013/10/31 ■ RICOH THETAで全天球HDR(ハイ・ダイナミックレンジ)撮影→IBL(Image Based Lighting)に挑戦
改版履歴 (Updates) bookmark
2013/10/31
初版公開 (First release)