撮影した3D(ステレオ)写真をビューマスターのリールにして保存しよう bookmark

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「ビューマスター」とは bookmark

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こんなおもちゃ、どこかで見たことがありませんか?
「ビューマスター」とは円盤状の写真フィルムを挿入して覗き込むと立体視で写真を鑑賞することができ、レバーをカシャカシャを押しこむことで次々と写真を切り替えることができる一連のシステムです。実はこれ誕生したのは1939年。70年以上の歴史がある「3D写真鑑賞システム」なのです。
世界中の観光地で、その観光地の3D写真が「ビューマスターのソフト」として販売されていましたし、日本でもディズニーアニメなどのソフトがおもちゃ屋で売られていたりしました。なので見覚えのある方も多いのではないかと思います。

そしてこのビューマスター、何が凄いかって今でもビューアーやソフトの新品が作られ売られていること。既に初期のビューアなどはヴィンテージと呼べるシロモノになっているのですが、そんなビューアでも(ちゃんと稼働するものであれば)今売っているソフトを普通に鑑賞できるのです。このプラットフォームとしての完成度、安定感ははんぱありません。

 

3D(ステレオ)写真、撮ったらどうする? bookmark

と長い歴史のある3D(ステレオ)写真ですが、ここ最近また急に身近になってきました。富士フィルムのFinePix REAL 3Dシリーズのような3Dデジタルカメラをはじめとして、パナソニックの一眼カメラでは専用3Dレンズがありますし、またソニーのデジタルカメラでは3Dスイングパノラマ機能で同様にステレオ撮影ができます。また、3Dスマートフォンでも3D撮影が可能ですし、近々ニンテンドー3DSでも撮影できるようになります。
これらのカメラで3D(ステレオ)の写真撮影は一気に身近になってきたと言えるでしょう。

ところが、その撮った写真をどうするのか…?というところではまだ環境が未整備と言わざるを得ません。
3Dテレビに出力する?(リビングでしか見られないし専用メガネも要るよね)富士フィルムの3Dプリントサービスを使う?(1枚500円、気軽にばんばん印刷できる価格じゃないよね)3Dフォトフレームを買う?(まだなかなかこれといった製品が無いし5年後10年後どうなることか…)ニンテンドー3DSに表示する?(解像度が低くてちょっと悲しいよね)

どれもコストや持続性に難があります。人に配るのには1枚500円の3Dプリントはちょっときついし、3Dテレビや3Dフォトフレームはまだハードルが高い。また、今は良くても20年後30年後にその機械で、その写真が見られるのか…?というと正直よくわからないのが実情です。

3D写真はその場の雰囲気とか空気感のようなものをよく残すので、子どもの写真や旅行のスナップが実に楽しく撮れます。が、その子どもが大人になる20年後、30年後にも確実に写真が見られるように…とか、旅行の写真を友人に渡そう…とか考えると、意外と選択肢が無い現実に気付かされるのです。

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あとはこういった昔ながらのステレオ写真鑑賞方式に頼るかしかないのですが、これだと1枚1枚写真を入れ替えるのが地味に面倒くさい!手軽に撮ったスナップ写真なのですから、見る時にも気軽に見たい!

そう、そこでビューマスターなのです。やっと本題に戻ってきた!

  • 既に70年の歴史があり大量生産されていて、コレクターもいて、今でもまだ新品が作られている(=今から30年後にビューアがどこ探しても無い!なんてことは想定しにくい)
  • ビューアは1000円ほどで、もとが子どものおもちゃなので気軽に扱えるし丈夫。
  • 円盤1枚に7組のステレオ写真が収録でき、覗き込みながらレバーを押しこむだけで切り替えられる。一連の写真を手間なく3Dで鑑賞できる
  • 写真を保存するにあたっても、リール(ソフト)のホルダーなどといったアクセサリーも豊富

あとはソフトの円盤をいかに安く作れるか、です。
STEREOeYe shopさんではオリジナル・ビューマスターリールの製作も請け負っていますが、これはあくまでも大量配布用の量産リールの製作であって、個人で1枚2枚を多種作るのには向いていません。
また、海外でも「オリジナルビューマスターリールのつくりかた・キット」みたいなものが売っていたのですが、これはやたら手間のかかる気合と根性が必要な内容で「気軽にスナップ写真をビューマスターで」というものではありませんでした。

うーむ。
となると、自分でなんとかするしかない

というわけで、ひたすら試行錯誤の日々が始まったのでした。

前置きが長くなりましたが、このページではその試行錯誤の上たどりついた「なんとかぎりぎりアリと思える品質・手間・コストのバランスが取れたビューマスターリールのつくりかた」をまとめています。

 
 

ビューマスターリール(ソフト)の自作 bookmark

  • 必要機材
  • 治具の製作
  • リールの製作
    • リール部品の製作
    • データからフィルムを作る
    • フィルムからリールを作る

非常に複雑な手順に見えますが、「治具の製作」は最初の1度だけ、「リール部品の製作」は一度に結構大量に作れるので作りだめしておけばたまにやるだけ。

ビューマスターのリールを日常的に作るのにあたって繰り返すのは「データからフィルムを作る」と「フィルムからリールを作る」手順ですが、うち「データからフィルムを作る」は作業そのものはほとんどなくひたすら機械の待ち時間と現像に出しに行く手間です。

つまりリールを実際に作るのに一番面倒なのは「フィルムからリールを作る」手順。本手順ではここを極力省力化する方針でシステムをまとめてあります。

 
 

必要機材 bookmark

  • フィルムレコーダー(Polaroid HR-6000) オークションで1000円~5000円程度
    フィルムレコーダーというのは、デジタルデータ(写真データ)をフィルムに焼き付ける専用の機械。HR-6000でなくても同様の機械であれば構わない(ただし機種・個体によって以後のデータは当然要調整)
    以前は大スクリーンでプレゼンを行う時など、グラフをまずフィルムのスライドに焼付け、そのスライドをスライドプロジェクターで投影していたためよく使われていたが、パワーポイントなどから直接データプロジェクターで投影するのがあたりまえになった現代ではほとんど使われていない。なのでその当時の中古が格安でオークションにて流通している。
    ただし古い機械なので接続インタフェースも古いし対応ソフトウェアも古い。SCSIなどPC側の環境を整えるほうが難しかったりするので要確認。
  • カッティングプロッタ(GRAPHTEC Craft ROBO CC330-20) Amazonで21000円程度
    ビューマスターのリール台紙を切り抜くのに使用する。
  • デザインナイフ ダイソーで105円
  • 2mm径ドリル・ピンバイス ホームセンターなどで1500~2000円程度
 
 

治具の製作 bookmark

材料

  • カッターマット ダイソーで105円
  • 2mm径ピン mm 21本 ホームセンターなどで100円程度
  • 2mm径なべ小ねじ 3本 ホームセンターなどで数十円程度
  • カラー工作用紙 1枚 東急ハンズで61円
  • 適当なA4紙 1枚
  • セロハンテープ 少量

使用機材

  • カッティングプロッタ(GRAPHTEC Craft ROBO CC330-20)
  • 2mm径ドリル・ピンバイス

作業手順
このデータをCraftROBOを使ってA4の紙に出力・カットし、表裏を間違えないようにカッターマットに貼る。
カッターマットのうち、先に貼った紙に穴があいている箇所を2mm径ドリルをつけたピンバイスで穴をあける。
写真のように2mm径のピンとなべ小ねじを挿入し、裏側から抜けないようテープで止める

また、このデータをCraftROBOを使って工作用紙に出力・カットし、フィルム切断用ガイド治具とする。(速度5cm/s・カット圧33・パス回数3・赤チップ)

完成品

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リール部品の製作 bookmark

材料

  • カラー工作用紙(黒) 東急ハンズで61円/枚
  • A4光沢シール用紙(ノーカット) ダイソーで105円/3枚

使用機材

  • カッティングプロッタ(GRAPHTEC Craft ROBO CC330-20)

作業手順

  • このデータをCraftROBOを使って工作用紙に出力・カットし、ビューマスターリールの「台紙」とする。(速度5cm/s・カット圧33・パス回数3・赤チップ)
  • このデータをCraftROBOを使って光沢シール用紙に出力・カットし、ビューマスターリールの「シール」とする。(速度5cm/s・カット圧10・パス回数1・外枠赤チップ 内側黄チップ)

完成品

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データからフィルムを作る bookmark

材料

  • カラーリバーサルフィルム 750円/36枚
  • MPO 3D写真データ 7枚×5組

使用機材

  • フィルムレコーダー(Polaroid HR-6000)

作業手順

  • 1枚のリールにまとめたい写真を1つのフォルダにまとめておく
  • .plを起動してフォルダをドラッグ&ドロップ
  • 完成したimgフォルダの中身をフィルムレコーダーを使って焼きこんで行く
  • ファイル名の順番にフィルムに出力する
    • Exposeのパラメータは75,50,50,50
  • すべての露光が終わったらフィルムを現像に出す。
    • カラーリバーサル現像、ノーマル・スリーブだが「長巻返却」を指定
      (長巻の写真)
  • 現像が終わったら7コマごと(1リール分ごと)に切断し、フィルムのカールを取っておく

完成品

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フィルムからリールを作る bookmark

材料

  • データからつくったフィルム
  • リール部品(台紙・シール)

使用機材

  • 治具
  • 切断用ガイド治具
  • デザインナイフ

作業手順

  • リールを1コマ(ないし連続した2コマ)切り抜き、治具の下半分にはめこむ
  • 上からフィルム切断用ガイド治具をあてる
  • 切断用ガイド治具を参考にして、デザインカッターでフィルム周囲の不要部分をカットする
    • これを1リール4枚分行う
  • 治具の上半分に台紙を裏返して置き、その上に切断したフィルム片をはめこんでいく
  • 治具の上に台紙・フィルム片が正しく載ったら、上から裏紙をはがしたシール部品をかぶせるように乗せてはりつける
  • 治具から外して完成